気だるい。 ベッドの上から。 降りられない。 降りたくない。 堕ちたのは1年前。 『わるくねー話だな』 そう言って。 その日。 そいつの家に泊まって。 飲んで。 何故か。 オレは押し倒されて。 お互い。 酔っていたのは確かだけど。 悪ふざけでは。 無かったそれは。 何か前触れが在った訳でもなく。 『ヒロミ』 呼んでおいて。 勝手にキスで唇を塞ぐなんて。 どういうつもりだ。 なんて。 見当違いの思考回路は。 やはり完璧に酔っていた証拠で。 その後の事は。 痛過ぎて思い出したくも無い。 取り合えず。 ぶっ飛んだ。 と、だけ言っておこう。 思考とか。 記憶とか。 今まで積み上げてきたモノとか。 ちょっとしたプライドとか。 Etc…。 Etc…。 かなり、色々、飛んでった。 朝起きて。 頭が痛かったのは。 二日酔いのせいだけではなかっただろう。 素っ裸の男二人が。 ベッドの上で寝てる事実。 眼を覚ましたオレの視界は最早鮮明に。 こんな光景見たこと無えよ。 当たり前だけど、初体験だよ。 嗚呼。 『なんだっけ…』 こういう時。 どうするんだっけ? 隣のヒトまだ寝てるし。 この後、起きたら。 どうするんだ? 混乱したまま。 咽喉が酷く渇いてる事に気づいて。 水を飲みに立ち上がった。 笑えないけど。 笑ってしまうくらい身体中はガタガタだった。 笑えないけど。 痛いなあ…。 イロイロと。 てか、起きろよ。 誰の為にこんな悩んでンだよ。 なんだこの現状は。 オレ一人うろたえて莫迦みたいじゃん。 『起きろよ…』 呟く。 起きたら起きたで、困るのは確か。 どんな顔して。 何を話す? 何で?って聞く? どうして抱いた?って聞ける? 何て答えるだろう。 勢いで、とか? ありえるな…、最悪だけど。 愛とか、恋とか、惚れた腫れたはありえないしな…。 ああ…。 それは無いな…。 ありえないな…。 …。 …。 …。 『何、泣いてんだ』 何言ってんだ? 誰がなんだって? 『何、泣いてんだ、ヒロミ』 『っ?』 泣いてる。 のは自分デス。 気づけよ自分。 泣くなよ。 みっともない。 何が。 何が悲しい? 何がって。 そんなの判りきってる。 『何で抱いた?』 遊ビデスカ? 冗談デスカ? 勢イニマカセテ。 抱イタンデスカ? 涙。 止まるはずもない。 こんな哀しい事。 他にある? 『じゃあ、なんでオマエは抱かれた?』 サラッと。 質問に質問で返すなっ!! 国語のセンセイに怒られるぞっ?! 『アンタが好きだからに決まってンだろッッ』 何言ってんの。 オレってば。 何言ってんの。 オレってば。 何言っ 『オレもだ』 …。 ってっ! 何言ってんだ、アンタッ!!! 堕ちるトコまで堕ちたのは1年前。 『オレと組んでロックンロールで世に出ねーか?』 あの日始まった。 二人の関係。 どっちにしても。 オレも。 ヤツも。 別に堕ちた訳ではないだろうから。 仲睦まじいオシドリフウフってのでもなければ。 ラブラブばかップルでもないけど。 相思相愛で。 恋仲に在るのだから。 オレ達は恋人同士。 そう。 恋人同士。 恋人…。 恋…。 …。 …。 『いつまで寝てンだ』 『あと、じゅっぷん』 『ドコのガクセーだオマエは』 『ひはっはははっクスぐンなってっ、って、ドコ触ってンだっ!!!』 『犯すぞクソガキ』 『…起キマスカラ止メテ下サイ…』 あれから一年。 見事なまでに。 愛し合ってます。 戻る 賢いがゆえに考えがちなヒロミに、阪東は、言葉は少ないけどキメるところはきちんとキメる。 かっこいいぞセンパイ。 阪ヒロは、受からの矢印がきっちりはっきり出てるのが良いカプだと思います。 ヒロミちゃんは違うって言ってるけど、2人は充分おしどり夫婦でラブラブでバカップルだと思います。 |